ナンパコッタ

例えばそんなナンパ

ナンパの0⇒1

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2020年も11月にはいりました。

冬が始まると女の子達がきつい顔をして歩くようになる。気候というものがどれだけストリートナンパに作用するか一年を通してやったことがある人なら分かると思う。春や秋などの過ごしやすい季節は比較的反応も緩やかで、夏になると暑さでうんざりしているが、開放的にもなっている。冬が一番厳しい。寒さが彼女達の服だけではなく心の殻を余計に厚く硬くするような気がするし、反応も寒々しさを感じるものになる。とは言え冬のナンパが俺は一番好きだ、透き通った空気の中、寒さに凍えながら声を掛けてると生きてる気がするし、何かに試されてる気がする。ナンパ始めたての頃、休日は殆ど地蔵なのにお昼頃から電車で一時間くらいかけて街まで来て深夜まで街にいた。渋谷で昼頃から地蔵して、夜に新宿に移動してHUBで揉まれて、深夜の人のいない歌舞伎町で地蔵しながら声を掛ける。即、いや、経験という物は0と1の間が大きい、講師として人に教え始め、より一層意識するようになった、そんな初即の話。
その日は寒さを誤魔化すために仲間の一人とコンビニ前で缶チューハイで乾杯していた、ふと街に目をやると新宿東宝シネマからドン・キホーテ方面に向かうリュックを背負った女の子が歩いてた、仲間に先んじて「あの子いってきます。」と言った。マイメロの小さなぬいぐるみをバックにつけていた、今でいうぴえん系、声を掛けた瞬間なにかを感じた、瞳の奥からキラキラした粒子のような物が溢れていた、深夜の特有の暗く淀んだ「何でもいい」という反応ではなく、はっきりとした喜びや期待の感情(今でもこの目をされるのが大好きだ)「なにしてるの?」とか「飲み行こうよ」とか他愛もない何の変哲もない話に彼女は嬉しそうにしながら形式的に断りをいれてくる、「お金はなくてもいいなら」と最終的には行くという答え、居酒屋の中で何を話したかは鮮明には覚えてない、今日の出来事だったり「なんで声掛けたの?」なんて彼女からの質問を丁寧に話した気がする。新宿の深夜の街、だからといって別に誰だって良かったなんて言わない。勿論相手だって真に受けたりしない、共通認識としての会話、そういう薄い噓を重ねその時だけの疑似的な恋愛をする。歌舞伎町ホテル街の一番手前にあるホテルに入った、そんなにホテルに詳しくもなかったし、ナンパでホテルに行くのは初めてだったけど手慣れたフリをしないといけないと思って、高い部屋しか残ってなかったけど泊まった、中にサウナやマット、マッサージチェアがある部屋だった。朝になったら魔法が溶けたように歌舞伎町を抜けて新宿駅前でバイバイって別れた、お互いに連絡先も交換もしない関係。こういった刹那的関係をずっと続けていくうちにお互いが心に引っかかるもの、代替えできない存在が見つかるのかは些か疑問だったが、ナンパ師として0から1になった日だった。