ナンパコッタ

例えばそんなナンパ

例えばそんなナンパ師

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女が好きではなかった。思春期の女というものはいつも支離滅裂で、猫みたいに気分屋で、突然可愛いところを見せる。そんな彼女達を浅はかな理屈で丸めこみコントロールしようとしていた。人間は人間なんだから性別による思考や感情に差異はないと真剣に思っていた。そんな一介のAFC状態だった話だ(AFCとは”Average frustrated chump”の略で、「よくいる欲求不満のバカ」)でもベースとしては童貞を卒業したのは早かったし、学生時代は女が途切れたことはほとんどなかった、だから非モテかモテと分別するならモテる側だったと思う。単純に環境に恵まれていたのもある、しかし残念なことにそんな日々が続くわけもなく日々を繰り返せば大人になる。学校を卒業し、気づけば、会社に入り、周りはむさ苦しいオッサンだらけだった。地獄絵図だ、AFCの巣窟だった。休み前になればキャバクラに大枚を使い。日曜は1日寝てるという、絵に書いたような非モテ軍団。そんな上司たちを尻目に俺はシコシコと学生時代のツテを使い女の子とデートを重ねた。無論、社会にでた女の子達は色んな男を知り、俺の非モテぷりに呆れ返り(たぶんね)2回目のデートになるとプツリと連絡が途切れた。歯がゆかった。「俺の魅力がなぜ分からないんだ」とか呟いて、オナニーでもしてたと思う。そうしていつの間にかキャバクラに通っていた、商業パッケージ的な笑顔で彼女らは俺を迎えいれ、クソつまらない与太話を聞いてくれた。深キョン似の指名嬢はいつも笑顔で「ビッパー君は凄いね」と言ってくれた。「ワンチャン俺に気があるんじゃねぇか・・・?」そんな淡い期待を思っていた矢先、店に行くと首元にキスマークついている指名嬢がいた。同席した俺の先輩がそれを面白そうに指摘すると顔を赤らめて「違うの、ぶつけたの」という彼女。(あぁ、まぁそうだよな。彼氏くらいるよな・・・。)特にショックを受けたとか、思うこともなかったが、それからはキャバクラに行くのをスッパリ辞めた。馬鹿馬鹿しかった。


閑話休題


俺は今までナンパをしたことがない。ナンパに対して関心もなかった。チャラ男が酔った勢いでクラブでやるようなことだと想像していた(クラブはよくいっていた)恋人関係や肉体関係というものは基本的には同一のコミュニティの中で出会い、繋がり、結ばれるものだと思っていた。だが違った、彼等はずっと街で蠢いていた。「ナンパ師」そういった存在をネット上である日知ることになる。衝撃。自らを「師」と名乗る彼らの行動力は常軌を逸した形で即(セックス)を生み出し続けていた。街で即系を見極める洞察力、オープナー、和み、連れ出し、ギラ。感覚だけじゃなく各フェーズにおいて最適解を見つけ、常識では有り得ない最短ルートを通り、関係を深める印象操作のプロ。対女関係における社交術の極地。ナンパ師のブログを読めば読むほど興奮した。「俺もやってみたい」そう思うのに時間はかからなかった。周りは結婚や恋愛に安定を求める最中、俺はこちら側の世界に魅了された。もし理由付けするならば。「できる限りのことを死ぬまでにやりたい」とか「沢山の女を抱いた後の景色を観てみたい」とかそんな陳腐な理由だ、笑いたければ笑えばいいと思う。ルックスを若く保てる時間は限られている。必然的に今スグにやるしかない。

ナンパ師、スト師、PUA

どれを名乗るのも一緒だが、一般との違いは「女を即日で口説ききるということに対するプロ意識」の差だと思う。根っからのシングルタスカーなので一つのことに飽きるまで、納得できるまでやるしかない。ダラダラみていたテレビも、アニメや漫画もいくつかの趣味も見切りをつけ、自身のスト値上げやナンパ関連に時間や金を投資する。ナンパをする時間を作るのではなくナンパをするたに他を削ぎ落とす。そして街に立つことに集中する、制約と誓約に近い。100人斬り。男なら誰でも1度は憧れる話だ、とにかくこの数を目指す、手段は問わない。とにかく突き抜け走り続ける。そうして、とあるナンパ師が街に立つようになった。